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1月

書:湯淺 美優

書:湯淺 美優

 『ミステリと言う勿れ』は、大学生の久能整が、さまざまな事件に巻き込まれながらも、独自の価値観と持論で謎を解き明かし、解決に導くミステリー作品です。
 作品の中で、久能は事件の犯人や、それらに関係する人々に対し、淡々とした会話から心を解きほぐしていきます。彼の発する言葉は、読者に共感を与えたり、少しチクっとさせたり、ざわつかせたりと、名言といえば大げさですが、沁みわたっていくものが多いです。
 掲示板のことばは、物語のキーとなる女性に対し久能が発したことばになります。彼女は小さい時から絵が好きで周りからも上手と言われて好きで毎日のように描いていました。そのまま中学に進み美術部に入部するも、その時に自分の絵の下手さに気がついてそれ以来絵を描くのをやめてしまったとのことでした。ちなみに作品ではこのエピソードが事件解決の糸口になるのですが・・・。
興味がある人は観てください。
 言葉の中にある「下手」というのは、手際がよい、上手という意味の対義語になります。ただ語源は、ものの端や、境界をさす「へた」ということで、そこから川や池などの深くないところ、つまり浅いことをいろいろなものごとや技術的なことにも汎用されて、「深くない」「未熟」という意味でも使われるようになったとのことです。
 掲示板のことばは人によっては「綺麗ごと」と捉えられるかもしれません。自分が何かに対して「下手」に感じるそのときは、全く楽しくありませんし、その感情と戦うことはストレスでもあります。
一方で、 私たち人間は自分で自分のことをみることができないので、自分を写す鏡のようなものにふれたことではじめて「下手」な自分と出あえます。
 「上手」とか「下手」というのもあくまで人間の主観にしかすぎませんが、自分自身の姿をみていく勇気というのは、私たち人間が生きていくうえで大切なことかと思います。

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