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こころの掲示板
8月
書:宮下 結菜
今月の掲示版は、『大無量寿経』に書いてある釈尊の言葉です。「仏の教えにあえば人は己の至らなさを自覚し 、 お互いを尊敬し 、 よって軍隊 ( 兵 ) や武器 ( 戈 ) を持つ必要はない 」 という意味です。
釈尊の時代も、現代の今も、私たち人間は繰り返し、戦争をしています。そして、それらの多くが「正義」というところに立っておこなわれています。戦争とは、「正義」のためなら、武器を用いることも、殺戮することも正当化していくことです。
日本では、八月十五日を「終戦記念」としています。幾度となく戦争をしてきたことに対し、自責の念と、戦没者を億う機会として八月十五日を終戦記念としました。
しかし、中には戦争は終わっていない人もいれば、時が経つにつれ、風化していった人もいるでしょう。また、この掲示板をみている皆さんのように、戦争の経験がない人は、どこか自分とは関係のないように、つまり戦争を外からしかみられないという事実もあります。
「兵戈無用」という言葉は、単に戦争をやめよう、平和に暮らそうという意味ではありません。釈尊は、争いの原因が私たち人間の心に深く内在していることを指摘しています。そのことを私たちは教えを通して気づかされるのです。
いつの時代にあっても、私たち人間は争いがないことを求めています。それでも、人間は戦争の惨禍を繰り返しています。
このような状況の中で、今こそ私たちは、「正義」ではなく「何がほんとうのことなのか」立ち止まり、問い続けることが大切です。そして、その先に私たち人間が自己の至らなさに気づき、互いを尊敬しあう世界が開かれるのではないでしょうか。
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