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こころの掲示板
6月
書:熊谷 清香
日本の文字は、漢字と仮名から成りたっています。
文字は何かを伝えたり書き写したりするための手段として存在する一方、中国の古い時代から美の表現方法としての面もあります。
ひと昔前は、読み・書き・そろばんができて一人前といわれましたが、現在はデジタル機器の普及により、書く機会は以前と比べ少なくなってきました。書く代わりにボタンを押せば筆順や部首などを知らなくても、難しい漢字をどんどん使えるようになりました。その一方で、文字や文章を読むことはできても、書けないことが多くなっている気がします。
古来より写経や写本ということがありますように、印刷技術のなかった時代は、経典をはじめ大切な書物を「書写」することが、読むことと同様に学問の基本でした。
仏教を今に伝えてくれた先人たちは、人々にわかりやすく伝えるために、一文字、一文字を慎重に選び、心を込めて書き残してくれました。それは文字が意表文字として、それぞれに意味があることを理解し、何より言葉を大切にしてきたからです。
この掲示板を書いてくれた書道クラブの皆さんもきっと心を込めてこの文字を書いてくれたと思います。
なにかとせわしない日々を過ごしている私たちですが、たまにはスマホやパソコンからしばし離れて、「書写」をするように、ゆとりをもった生活を送りたいものです。
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